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Selfishly

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素直になれなくて act3



「素直になれなくて 3」


~ 面倒ごとを押し付けられたと思っていた。

  何かとトラブルを巻き起こす彼は
 
  いつも、自分の予定を狂わしてくれる。


  小さななりに不遜な態度。

  天才ゆえか、傲慢な態度。

  そして、子供なせいか 怖いくらいに純粋。

    
  あの子供は、いつも トラブルを運んでくる。
  
  それがまさか、あんなに可愛いなんて反則だ・・・。~




「はぁ~、そんな訳があったんっすか・・・。」

ロイの家のリビングに場所を移し、

ハボックは、事の起こりをロイより説明を受けていた。

さっきは、余りの衝撃的な事に 思考が固まってしまい、

とんでもない想像を浮かべてしまったが、

まぁ、よくよく考えてみれば この二人組みで

そんな事があるはずがない・・・・ないはずだと思うのだが。

ロイの説明を受け、真剣に聞いていたのだが
どうにも、意識も目も 先ほどから 
目の前で繰り広げられている光景に吸い寄せられて
離れようとしない。

真面目な表情で、経緯を話しているロイの膝には
擦り寄るようにして膝枕してもらっているエドワードの姿がある。

構ってもらいたがるエドワードの様子に、
ロイが宥めるように撫でてやっては、
その手にじゃれつくエドワードに優しい微笑と共に
一言二言言葉をかけている。

その様子が 余りに自然で・・・、自然な事が異様で
ハボックは、先ほどから 目の前で行われている光景から
目が離せないでいる。

「ニャアー。」

強請るように、首を上げてロイに呼びかけるエドワードの姿は
確かに 可愛い、可愛いと言えるだろう。
もともと、らんぼうな態度の方が目に付いて気がつかれないが、
エドワードは、綺麗な造形をしている。
風呂上りにロイのパジャマを着せてもらったのか、
ダブダブの上下に、編みこんでないサラサラな金糸。
紅潮している白い肌は、滑らかで
触れれば、さぞかし気持ちが良いだろう。

ハボックは、先ほどから
ロイが気持ち良さそうに撫でている様子に惹かれて
つい自分も手を伸ばして、エドワードに触れようとする。

「フッー!!」

ハボックの手がエドワードに近づく寸前、
咄嗟に体制を変えて、手を叩き落として威嚇の声を上げる。

「イッテー!!」

悲鳴と共に、伸ばしていた手を引っ込めたハボックが
元凶を見ると、ハボックを威嚇しながら
身体全体でロイにしがみ付いている。

「こらこら、エドワード。
 そんなモノに触っちゃ駄目だよ。」

全身で抱きついてくるエドワードの様子に
満更でもなさそうな表情で、抱きしめて
エドワードの背を、宥めるように撫でている。

「ひどいぜ大将・・・。
 普段は あんなに仲良くしてるのにさー。」

引っかかれた手の甲に息を吹きかけ
涙目になりながら、ハボックが抗議する。

「シャァー!」

ハボックの抗議にも、威嚇の声を上げて睨み返すエドワードの様子に
ハボックは ガックリと肩を落とし、
ロイは、妙に嬉しそうな顔をしている。

「・・・アンタ、何か喜んでません?

 それにさっき、何気に 俺の事 ばい菌扱いしてたような・・・。」

恨みがましそうな目で見てくるハボックに
ロイは、そんな事はないとそ知らぬふりを見せる。


「んで、どうする気なんすか?」

気を取り直して、話の続きをはじめる。

「どうとは?」

相変わらず、エドワードを撫でながら聞き返すロイには
異常事態への緊張感が、欠片も感じられてこない。

「大将っすよ、大将。

 まさか、このままってわけにも行かないでしょうが。」

「ああ、まぁ そうだな。」

必死に聞き返すハボックの態度に反して、
ロイの態度は、曖昧で あまり気が乗っていないように見られる。

「・・・まさか、このままがいいなんて
 思ってるんじゃないでしょうね?」

「・・・まさか。」

返答までの妙な間に、ハボックは ロイが現在の状況を
楽しんでいるのを感じる。

「大佐・・・。

 普段、冷たくされてるから
 今の大将の様子に嬉しいんでしょうが、
 あんま人の不幸を楽しんでると、
 痛い目みますよ。」

ハボックの 鋭い突っ込みに、
ロイは 一瞬、返答に詰まるが
わかっていると一言返すと、不機嫌そうに黙り込む。

そんなロイの様子に、ハボックは 『図星か』とため息を付く。
普段は何かと、エドワードには邪険に扱われている この上司が、
本当は 結構、エドワードを気に入っていて
自分も『仲良く』して欲しいなんて思ってるだろう事は
軍のメンバーの周知の事実だが、本人は 気づいていないのだろう。

急に黙り込み、不機嫌な様子を見せるロイに
飼い主(?)に敏感に反応したエドワードが
心配そうにロイを見上げる。

「ナァーン?」

落ち込んでいるロイを慰めようとしているのか、
エドワードは可愛い鳴声を上げて、ロイによじ登るように抱きついて
躊躇いもなく、ロイの頬に頬擦りをする。

「なっ!?」

目を見開いて凝視するハボックとは逆に
ロイは 慣れたように、エドワードの頭を撫でてやる。

「ああ、慰めてくれているのかい?

 大丈夫。 エドワードは良い子だね。」

そう言ってやると、褒められたのがわかったのか
エドワードは 嬉しそうに笑顔を浮かべて、
ロイの顔中に、覚えたてのキスを施していく。

「ははは、くすぐったいよエドワード。」

一生懸命に自分を慰めてくれようとするエドワードの愛らしさに
ロイは、先ほどまでの不機嫌さは跡形もなく消えて、
上機嫌にエドワードにお返しのキスを返そうとする・・・、
そして、目の前で固まっている部下を見て
今の自分達の置かれている状況を思い出す。

うそ臭い咳払いをしながら、真面目な表情を作り
ロイは 思い出したように、ハボックに話の続きをする。

「まぁ、その何だ。
 とにかく、アルフォンス君が 戻ってくれば
 エドワードも 元に戻れるわけだ。

 それまでの間は、他言無用でいてくれ。

 あと、エドワードが 元に戻った時も
 お前が知っていた事は内緒だ。」

ロイは それだけ言うと、もう話は終わりだとばかりに
ハボックを家から追い出すように、帰るように告げる。

早々に玄関の扉を閉められ追い出されたハボックは
不安そうにロイの家を見上げる。

今は、ありえなかった状況の好転に
どうも、自分の上司は 有頂天になって浮かれてるように思える。

『痛い目みなきゃいいんだがな。』

そんなハボックの不吉な予感を、
家の中の一人と一匹(?)が知る由もない。

 


**********************************************


~ たまにしか顔を見せないんだから、
 
  少しは自分にも愛想の1つ、

  笑顔の1つも見せてもいいんじゃないか?

もし・・・、

  皆に見せるような笑顔を見せてくれたら

  少しは・・・、いやかなり

  可愛いと思えるだろう。

  もし・・・、

  本の少しだけ、寄り添ってくれるようになれば

  多分・・・、いや 絶対に
  
  自分は嬉しい事だろう。 ~

  

ハボックを追い返した後、
残りの休日を二人は、家でゴロゴロしながら満喫していた。
文字どうり、本当に リビングのカーペットの上に寝転がって、
撫でると喜ぶエドワードの
髪や頬、喉元、背中と 撫でていた。

「気持ちいいのかい?」

喉元を優しく擦る様に撫でると、
エドワードが うっとりとした表情で仰け反る。

「ニャ~ンゥゥ。」

本当の子猫だったら、喉元をゴロゴロと鳴らせていたに違いない。

もっとと言うよに擦り寄ってくるエドワードの身体を抱きとめて
喉元から胸を辿り、腹の方まで撫でてやる。

「ニャ・・アァーン。」

ドキリとするような声を上げて、
エドワードが身をよじる。

「ここは、気に入った?」

ゆっくりと、腹から腰を感触を楽しむように撫でると
もどかしげに身を捩る。

「アァ~ン、アンゥゥ」

気持ち良さげに撫でられていた時とは
微妙に反応が変わってくる。

ロイは、ゴクリと喉を鳴らせると、
執拗に腹から腰にかけて撫でるのを止める事が出来なくなってくる。
その度に上がるエドワードの鳴声が、
せつなげなあえぎ声に近づいていくのに
煽られるように、段々と 撫でる位置も下がっていく。

ビクビクと身体の反応が伝わってくると、
ロイの精神にも伝染した様に、
快感と興奮が渦巻いていく。

『何を・・・何をしているんだ、私は・・・。』

理性では 止めろと警告が鳴り響いているのに
身体は まるで、誘導されるように
エドワードの快感を生み出す位置を探り続けている。

捲くれ上がったシャツからは、
白い肌が見えている。
ロイは吸い寄せられるように、
そのシャツの中に手を差し入れる。
直に触れた感触が今までと違っていたのだろう、
エドワードが 一際、大きな啼き声を上げると
ブルブルと身を震わせる。

「アァァーン!」

その声に、ロイの先ほどから警告を鳴らしている理性が
消し炭の様に小さく、小さくなり
消えていくのを、頭の片隅で感じていた。

「エ・・ド・ワード」

掠れた声で名前を呼びながら、
ゆっくりと、快感に身を捩る小さな身体に
覆いかぶさっていく。

親愛ではなく、欲望に支配された口付けを落とそうとした瞬間。

ジリリリ~ン!

と濃くなった室内の気配を吹き飛ばすような勢いで
リビングに置かれた電話が鳴り響いている。

「ニャッ!」

音に驚いたエドワードが、素早い身のこなしで起き上がり、
ソファーの後ろ側に逃げ込むように走り去る。

「・・・。」

ロイは、ぼんやりと空になった手を見る。
今まで感じていた温もりが去って、
ホッと安堵を浮かべる以上に
ガックリしている自分の心境に複雑な思いを浮かべる。

その間にも、鳴り響く電話に
ロイは ノロノロと起き上がり、
受話器を持ち上げる。

「はい、マスタングだが・・・。」

またしても、ハボックの奴だったら
どうしてやろうかと思いながら告げると、
意外なようで、意外でない
待ち望んでいたはずの人間の声が届いてくる。


『大佐・・・?

 アルフォンスですが。

 すみません・・・、もしかしたら
 もうお休みでしたか?』

不機嫌な様子が伝わる声の調子に、
相手が気にしたように伺ってくる。


「アルフォンス・・君?

 ああ、いや 大丈夫だ。
 まだ、起きていたよ。」

『すみません、ご面倒かけたままで
 連絡が遅れちゃって。

 あのぉ、兄さん ちゃんとしてますか?』

「ああ、大丈夫だ。

 さして、手間をかけないでいてくれるんで
 人の時より、扱いやすいくらいだよ。」

アルフォンスが連絡をしてきたと言うことは
エドワードの催眠術も解けて
元道理に戻るという事なんだと
素直に喜べない心の動きに動揺しながらも、
軽口を返していく。

『あははは、兄さんが聞いたら怒りますよ。

 で、その後なんですが・・・。』

言いにくそうに口ごもって告げられた内容は、
アルフォンスが、街に着いて術者を探すと
エドワードに店を崩壊させられた その人物は
早々にその街を出てしまっていたそうだ。

近所の人たちに聞きまわって、
何とか手がかりを聞き出し、
今度は その街に出かける事になったと話すアルフォンスの声は
ロイにかかる迷惑を慮ってか、沈んでいる。

「そうだったのか。

 いや、こちらの事は気にしなくていい。

 君も余り無理をしないで、

 追いかけて行ってくれ。」

『はい、すみません。

 次の街では、探せると思うんで
 それまで、ご迷惑をかけますが
 兄さんの事、宜しくお願いします。』

話しながら、頭を何回も下げているのだろう、
鎧が音をたてているのが聞こえてくる。

「ああ、大丈夫だ。

 エドワードの事は、きちんとみておくよ。」

ロイは、アルフォンスからだとわかった時とは違い、
明るい返事を返す。

『は?・・・ああ、はい。

 宜しくお願いします・・・。


 あのぉ、それで 兄さんに電話を代わって
 もらうのは無理でしょうか?』

微妙な間が開く返事の後に、
アルフォンスが躊躇いがちに願いを伝えてくる。

「あ、あぁ そうだね。
 すぐ代わろう。」

ロイが受話器を耳から離し、
電話の音に警戒していたエドワードはと振り向くと
さっきまでは、ソファーの後ろに逃げ込んでいたのが
気づかぬうちに、ロイのすぐ傍まで近づいてきていた。

「エドワード、驚くじゃないか。

 ほら、アルフォンス君だよ。」

受話器を差し向けてやると、
不思議そうな顔で、受話器から聞こえてくる声に耳を澄ましている。

『兄さん、兄さん、聞こえてる?

 僕だよ、アルフォンス。

 少し遅くなるけど、大佐の言う事をきちんと聞いて
 いい子にしててよね。

 わかった?』

アルフォンスの声が聞こえてくると、
エドワードは 急にソワソワとしながら
鳴声をしきりと上げ始める。

「ニャー、ナァー、ナァー!

 ナァ~ン!  ニャァ~ン!!」

ロイの手から受話器を引っ手繰るように取ると
声だけで姿が見えないアルフォンスに
呼びかけるように啼き始める。

『兄さん!
 大丈夫、もう少しの辛抱だからね。

 なるべく早く帰るから、我慢しててよ』

宥めるアルフォンスの声が、ロイの耳にも入ってくる。

それに返すように、エドワードの寂しげな鳴声が
悲痛な叫び声にまで変わってくると
さすがの二人も慌てたように電話を切る事を告げて
受話器をおく。

「どうしたんだい、エドワード!?

 大丈夫だよ、アルフォンス君なら 直に戻ってくるから。」

「アァーン! ニャーア ニャァア」

声が聞こえなくなった受話器に向かって、
物悲しい声で鳴き続けるエドワードに
ロイは抱きしめてあやしてやる。

エドワードがアルフォンスの声で、
これ程、反応を返すとは思っていなかったロイは
ショックを受けたまま、必死にエドワードを抱きしめ
宥め続けてやる。

『私では・・・、
 私では ダメなのか・・・?』

エドワードに、そう問いたい気持ちが
喉元までせりあがってくるが、
エドワードを抱きしめる力を強くして
我慢し続ける。

段々と小さくなる鳴声が、寝息に変わるまで
ロイは、絶望に近い暗闇を抱えながら
エドワードを抱きしめ放さなかった。


・・・ そして、その日から

 エドワードの様子が、少しづつ変わっていった。







*****************************************

~ 彼を気に入ってるのは
 
  綺麗な容姿でも、
  自分に向けられる微笑でも
  素直に寄り添ってくれる

  からではない。

  自分の心の奥深くから揺さぶられるような
  強い、熱い焔の点いた瞳。
  
  固く結ばれた唇は、意思を貫く事を秘め
 
  不遜な態度には、自分自身にさえ甘えない信念


  そんな強く、不器用な彼だから

  こんなにも自分を強く惹きつけるのだと

  今更ながら、思い知らされる・・・。~



ふと夜中に、隣に馴染んでいた温もりが無いことに気づき
ロイは 慌てて周囲を見回す。
エドワードが寝ていただろう場所は、
すでに冷たくなっており、
彼が 随分と前から居なくなっている事を示している。

「エドワード・・・?」

寝る前に、アルフォンスからの電話に
啼き叫んで、疲れるように眠った経緯があるので
まさか、飛び出して行ってはないだろうかと
浮かんでくる不安に急かされる様にベットから出る。

暗い闇の中、エドワードの気配がリビングにある事を感じて
ロイは、ホッと安堵の息を付きながら
中を覗いて、動きを止める。

そこには、ネコ化してから見せた事もないような
真剣な顔のエドワードが 窓辺に座っている。

もしや、術が解けたのだろうか・・・。
ロイが そう思わせられるのも無理の無い程、
知性を感じさせられる表情を浮かべ
エドワードは 自分の機械鎧の手足をじっと見ている。

手のひらを裏表と返しながら
何度も見ている表情は、何故 自分にこんな物が付いているのだろうと
考えているように見える。

『彼は 自力で戻ろうとし始めている・・・。』

ロイは、そのエドワードの様子で
エドワードの術が解け始めている事を直感で感じる。

彼には・・・成さねばならない事がある。
どんなに表面上は彼が変わったとしても
彼の魂にまで刻まれているだろう強い想いは
消すことは出来なかったのだろう。

ロイは、短い夢の時から目覚める時間が近づいている事を知った。

「戻るのかい。」

エドワードに向けてかけられた言葉は
闇に溶け込む事無く、届いたようだ。

「ニャッ。」

ロイの姿を見て、エドワードが嬉しそうにやってくる。
先ほど見せた表情は、今は微塵も感じさせない
天真爛漫な様子で、ロイに擦り寄ってくる。

ロイは、もうじき来る別れに 言いようの無い寂しさを感じて
見上げるエドワードの頬を撫でてやる。

「ベットに戻ろう。
 ここは冷える。」

そう言って抱き上げてやると
嬉しそうに頬擦りをしてくる。

彼は戻ったら、今の事は忘れてしまうのだろうか・・・。
何も無く、起きなかった事として?

こうして寄り添ってきた事も、
口付けをした事も
抱きしめた事も、全て忘れて・・・。

ベットに降ろしてやると、
温もりの残るシーツの中に喜んで潜っていく。

ロイは、押さえ切れない寂しさに
寝転がってロイを待つエドワードを抱きしめる。

「エドワード・・・」

「ニャッ」

名を呼ばれて、律儀に返事を返してくるエドワードに
少し微笑むと、懺悔をする信者のような表情で
エドワードに許しを乞う。

「思い出を・・・、
 一夜だけの夢でいいから
 私に思い出をくれないか?」

辛そうなロイの表情に、敏感に反応したエドワードが
慰めるようにロイに擦り寄り
一生懸命に口付けを施してくれる。

「明日には・・・必ず 忘れる事にする。

 そして、今までどうり君に接する事を誓うから

 今日だけ、今だけでいい
 私のものになってくれ。」

話しかけるロイに、口付けを止めてキョトンと見返してくる。
そんなあどけない仕草が、
彼が 自分の言っている事を理解していないことは
重々理解していながら、
ロイは ゆっくりと彼の身体を押さえつけていく。

「ニャッ? ニャァー ニャァー」

ロイは問うように上げられる啼き声を無視して
ロイは、ゆっくりと口付けと愛撫の為に手を動かしていく。

ネコ化したエドワードが快感に弱いことは昼間でわかった。
ロイは 殊更、エドワードが気持ちよさに
よがる箇所を丁寧に、強く愛撫してやる。

せわしなく上がる声が、啼き声から あえぎ声に変わっていく頃には、
ロイには、エドワードを思いやる余裕も無くなって、
敏感に反応を返す、エドワードの声と身体に溺れていく。

目に涙を溜めて、快感に頬を紅潮させたエドワードは
今まで見た どんな女性よりロイを興奮させる。

「エドワード、好きだ。

 君のことが、ずっと好きだったよ。」

ロイが何度も打ち明けていく言葉に
エドワードの反応が変わる。

じっと、ロイを見つめているかと思うと
たどたどしい口調で、ロイに必死に何かを訴えようとする。

「ニャ・・イ

 ロ・・・イ、ロォイ ロォイ。」

自分の名前を必死に呼ぼうとしているエドワードに
愛おしさのあまり、ロイの残っていた理性も消え、
欲望のまま エドワードの身体を抱き貫く。

「やぁ・・・っつぅ」

余りの衝撃に、上げかけた声さえ止まる。
エドワードは、忙しくなる呼吸の中で
おぼろげに目の前でひたすら自分を見つめている
男の顔が誰だったのかを、唐突に悟る。

愛おしそうに自分を見つめ、
火傷しそうに熱い身体を重ねる男が
エドワードが、伝えなくてはならない事を言うべき
相手だと言うことに。


「ロ・・・イ。」

苦しそうな呼吸の合間に
エドワードは遠のきそうになる意識を気力で保ち
切れ切れに言葉を告げていく。

「俺・・・アイツみたいに

 アンタに撫でてもらいたかった。
 本の少しでいい、
 俺がもう少し 素直になれたら
 アンタの傍に寄れるような気がしてた。

 だから、俺は少しの間だけでいい
 アイツになりたかったんだ・・・。」

苦しげな表情に、精一杯の笑みを浮かべて
エドワードは ロイに告げる。

ロイは、エドワードの変化に
そして、告げられる言葉に
驚くような感動を受ける。

自分が、彼と近づきたかったように
彼も、自分に近づきたいと願ってくれていた。

ロイは歓喜している身体に従って、
エドワードに喜びを伝えるように揺さぶる。

段々と大きくなるエドワードの嬌声に喜びが混じるようになるまで
何度も何度も、エドワードを揺さぶり続けた。

最後はいつだったのだろうか・・・。
気を飛ばしたエドワードが、目覚める気配も無く
意識を閉じた後、
ロイは 宝物を抱くようにしてエドワードを抱え
自分も、夢も見ない眠りについた。












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